北海道はどの季節も素晴らしい。春はもう一度の味わい、華やかで儚い夏、厳しくも温かい冬、そして先取りの秋は次の季節に逢えます。今回の秋の北海道は、次の季節だけでなく、久しぶりの同好の皆様やお会いしたかった人、撮りたかった列車、エゾリス、秋の夕暮れなど、「逢いたい」に会えた旅でした。(2021/10/8-10)
2日前に猫を連れて八王子から夜通し運転して北海道に着き、その翌日には引っ越し荷物の搬入と、けっこう疲れが残っている状態。しかし好きなことにはアドレナリンが分泌されるのか、夜明けに白老の家を経ち、すいすい運転して根室本線始発列車に間に合う時間に富良野に到着しました。雨上がりでしっとり輝く金山湖畔は紅葉の森。始発列車は珍しい宗谷色です。
同好のNさん、Aさんが旭川空港に到着する前に、もう一本。山部の落葉松林です。日が差してきました。朝霧が雲のように朝日に輝く珍しいシーンが撮れました。山は落葉樹の紅葉がピーク、入れ替わるように来月初旬には、緑の落葉松が黄金色に変身します。
Nさんとは昨年夏以来。お互いこのくらいの歳になると、元気に再会できたことがまずは喜ばしい。三人そろって向かった先は、十勝岳の望岳台。よくTVニュースで目にする、色とりどりの山の紅葉。こうして目の当たりにするのは久しぶりです。
根室本線は朝のダイヤのあとは午後の三時まで待たねばなりません。ようやく鉄道写真です。金山ダムから見る根室本線。今年はここで、春は桜、夏は深緑を撮りました。念願だった秋の紅葉は見頃少し前でしたが、芦別岳もくっきり見えて、さらにはSNSで親しくして頂いているRさんにお会いできて、忘れられないひとときになりました。
北海道の秋の日は短く、光がある中で撮れるのは午後5時前後の列車まで。好きな駅山部で、秋の夕暮れらしく撮りたくて。列車の灯り、降りる乗客、生きている鉄道ならでは日常です。
翌日は5時出発。爆睡してAさんからの電話で目が覚めました(汗)。夜明け前に布部辺り。快晴予報です。素敵な1日になりますように。
朝の根室本線、いちばんの目的はここでした。残念ながら列車通過時には曇ってしまいましたが、芦別岳など富良野の山々をバックにメロンハウスや田園が広がる、富良野盆地らしい景観が素敵です。もし根室本線が廃止されたら、この写真を見て、ここを走っていた鉄道を懐かしみたい、そんな風景です。
角度を90度動かすと、空知川が見渡せます(鉄道は写っていません)。また別の季節にも訪ねたいと思います。
次の列車は芦別岳バックに撮るつもりでしたが、日が陰ってしまったので(この日は、朝の一定時間だけ日が陰りましたが、その後はずっと快晴!)、下金山駅で駅撮りしました。このあともう1本を金山湖で撮り、狩勝峠を越え、十勝に向かいました。
朝の富良野は日差し無くやや消化不良気味でした。峠を越えて新得蕎麦を食べる予定でしたが、時間が早すぎて芽室まで来てしまいました。快晴です。日高山脈をバックにここで1本キハ撮り。とかち、おおぞらも通過しましたがいずれも261系でした。せっかくなので尺別に行こうと、蕎麦は忘れて一気に鉄モードです。
芽室から尺別は約80キロ。14時前には到着しました。2年ぶりの尺別の丘です。穏やかな太平洋。海岸線を走るおおぞらは261系。
尺別の丘では、日没まで約3時間滞在しました。海辺なので風は強いものの、まだ寒くはなく、日の傾きとともに変化する海岸線の風景を堪能しました。貨物、特急、普通列車を幾つか撮りました。結局キハ283系おおぞら(来年3月で引退予定)は一本も来ませんでしたが、1両しかいないタラコのキハ40系が来てくれたのはラッキーでした。
日没まで粘ったお陰で、最後はキハ三連。日が落ちた直後で、残照に光る線路と列車にシャッター切りながらも、うっとりでした。
夕暮れマジック。日高山脈がシルエットのように浮かび上がりました。最後のシーンがクライマックスでした。満足して宿がある音更に戻りました。せっかく十勝に来たのでと、宣言が明けての夜は、三人で焼肉をがっつり頂きました。
最終日三日目は霧の朝。天気も下り坂の予報です。朝いちばんの撮影は池田の先。朝霧の中、ヘッドライトが微かに見えました。(本来は国鉄色の予定でしたが、運用が変わったようです。)
利別駅です。朝霧で、いい感じでぼけています。これを撮ってから、エゾリスのいる社の森に向かいました。
何度か訪ねている社の森ですが、朝はエゾリスが活発なんですね、こんなに会えたのは初めてでした。ここでの撮影枚数だけで、旅全体の半分以上になりましたが、冬支度をするエゾリスの可愛いシーンがたくさん撮れました。野生動物撮影は、鉄道とは違ったおもしろさ、難しさ。写真は被写体次第で楽しみ方様々。奥が深いです。
このあと、同じ場所で国鉄色のリベンジなりました。曇ってしまいました。良い条件で。またチャレンジしたいと思います。でも時間があまりありません。こいつも来年3月で引退。
秋の幸福駅は初めて。新型コロナの緊急事態宣言が解除され、しあわせを求める方々で賑わっていました。この駅を初めて訪ねたのは広尾線がまだ現役で幸福駅ブームのさなかだった1975年の秋。人が入らないタイミングを見計らって、キハ20が現役かのような構図で撮ってみました。
旅の最後に、中札内の六花の森。これはバターサンドではなくアイスサンドです。危ないくらいの美味しさです。
帯広空港で、東京に帰る同好の士を見送って、今回の旅を終えました。もう荷物を片付けなくてよい、お土産を買わない、レンタカーを返さない‥。まだ慣れない「見送る人」になって、不思議な気分でした。
共感できる皆様と、また次も元気に再会し、旅の感動を分かち合いたいと思います。完
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