遠い春を想う長い冬も、優しい緑に溢れる短い夏も、北海道の四季に、より深く染み入った2023年でした。撮影は出会い。ローカル線では、この向日葵畑のような一期一会が、路面電車では、一駅歩く毎に小さな出会いがありました。そんな2023年の出会いを、1ヶ月1枚、合計12枚の鉄道風景で振り返ります。（2024/1/11）
1月 母恋駅にて（室蘭支線 母恋）
車を車検に出した。夕方には終わるとのこと。代車を断って、最寄りの東室蘭駅から母恋駅まで乗り鉄しました。母が恋しい駅。自然と足が向いたのではなく、きっと母が呼んだのです。
もうすぐ、母の誕生日でした。亡くなって18年になります。「元気でやっているよ。」、そう呟きました。
2月 白い坂と長い夜（函館市電 青柳町）
「冬こそ北海道」。冬の厳しさこそ、北海道の味わい。紀行作家宮脇俊三氏の名言です。真冬の函館。日中は、白い坂で市電を撮り、長い夜は、お気に入りの宿で温泉とグルメ。仕事をリタイアした私の旅は休暇ではないので、旅が終る寂しさも、休暇が終る気の重さもありません。
3月 北帰行（室蘭本線 北舟岡）
ホームグラウンド、北舟岡駅。夕日が期待できる午後や、道の駅での買い物ついでに、よく立ち寄ります。3月初旬は、シベリアへ帰る渡り鳥のウオーミングアップが盛ん。「白鳥」vs「かもめ」、往年の特急が並走していました。
4月 はるばるきたぜ、わたらせ🎵（わたらせ渓谷鐡道 沢入）
♪さ～かまく波を乗り越えてぇ、来たぜ「わたらせ」、室蘭ナンバーで。
群馬で所用。フェリーで津軽海峡を渡り東北を縦断して、わたらせに辿り着きました。
5月 期待どおり（根室本線 金山）
この春の目標は、金山ダムのエゾヤマザクラ。ゴールデンウィークのど真ん中で満開に。こりゃ大変と、慌てて出発。
宿確保、早起き、駐車スペース確保、場所確保など、苦労はしましたが、とにかく撮れました。同様の苦労をしたであろう約100人のカメラマンの一斉連射音が谷底に響きました。
6月 期待以上（函館本線 小沢）
期待どおりは「嬉しい」。期待以上は「放心状態」今年いちばんの期待以上だった、小沢駅のルピナス。ピントを合わせ呆然と撮っただけの1枚です。
7月 オホーツクの夏（釧網本線 札弦）
道民になって実感する、北海道の広さ。道東や道北は、片道400キロ。東京在住の頃の方が、易々と行けました。今年の夏旅は滞在型。道東の清里町で3日間。鉄あり、釣あり、祭りあり。1年ぶりの道東。往復1,000キロ。旅人になってきました。
8月 花電車（函館市電 青柳町）
写真は撮る前に、撮りたい場所とイメージを描くとがあります。函館港まつりの市電撮りは、花電車三両が数珠繋ぎになって谷地頭の坂を下るイメージで撮りたいと臨みました。三両は遅れなく等間隔でやってきました。イメージ通りの写真が撮れました。今年の撮影で、最もドキドキした瞬間の一つでした。
9月 光る薄野（日高本線 勇払）
今年は日高本線にほぼ毎月通いました。北海道の秋は早く、8月下旬に薄の穂が開きます。勇払原野が一面薄野であることを知った秋。地の利を活かし、光る薄野を求めて、晴れの日を選び、場所を変え、時間を変え、何度も通った、9月の思い出です。
10月 リバイバルカラー（札幌市電 西八丁目）
クラウドファンディングで実現した夢電車。来年5月まで札幌訪問の楽しみ倍増です。
札幌オリパラ2030招致断念は個人的には残念な出来事でしたが、記憶の中での札幌1972「虹と雪のバラード」は永遠です。あの頃の札幌の輝きが、私の北海道への憧れの原点です。
札幌1972を知る243号車が、大倉山ジャンプ台をバックに市電通りを走る、2023晩秋でした。
11月 黄金色に輝く金山湖（根室本線 東鹿越）
例年より遅い時期に訪問した落葉松の黄葉。
「あなたが来るのを待っていたのよ。」 いつもはざわつく金山湖の湖面が、この時は鏡のように静かで、湖畔の落葉松が、黄金色に映り込んでいました。
12月 まだまだ（室蘭本線 黄金）
山が見えるとテンションが上がります。50キロ先にある羊蹄山が、冬場にこんなにクリアに見える日は珍しい。2年ぶりに俯瞰場所に登りました。登れるとは思いましたが、以前と同様難なく登れました。まだまだ大丈夫。70代になってもこの絶景を見られそうです。
「旅して撮って本にする。」、これが私の撮影活動の目的です。昨年の撮影活動を通じての「出会い」を1冊にまとめました。今回は「しまうま出版」さんを初めて利用。編集はすべてネットで完結し、編集自由度も高く、まるでホンモノの写真集のような仕上がりに感激しております。
好きなことができるのは幸せであり、好きなことをしているので、暇ではありません。この素晴らしい日々が、ずっとこのまま続いてほしいと願います。
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