逢いたくて(わたらせ渓谷鐡道)

逢いたくて。土曜の朝、往年の名曲「渡良瀬橋」を聴きながら関越を飛ばして、始発前に大間々駅に到着。毎年春と秋、富弘美術館の所用序で必ず訪ねていた「わたらせ渓谷鐡道」ですが、今年はコロナ禍でイベントが中止となってしまい、あの木造駅舎にも会えず仕舞いでした。そんなわけで、今回は1年ぶりの訪問です。久しぶりだから、夜明け前も夕暮れも、じっくり、たっぷりです。(2020/10/31-11/1)

緊急事態宣言が解除されてから、夏場に何度か訪ねようと試みましたが、八王子の街中を抜けての長距離の運転は気合と体力が要ります。中々出かけられませんでしたが、秋も深まり、いよいよ道祖神に招かれるようにやっと逢えました、1年ぶりの上神梅駅(ウルウル!)

到着したときはまだ日が回っておらずかなりの冷え込みでしたが、日が差すとポカポカ、朝日の当たる駅。何も変わっていないことが嬉しい。始発上り列車を見送ります。相変わらず清掃が行き届いたホーム。サルビア、ケイトウ、コキアが咲いていました。

赤城駅で、わ鐵は初訪問というJさんと合流。あらためて上神梅駅から撮影開始。今年は花咲く春も、緑深い夏も見れなかった景色ですが、落葉前の輝く季節、何とか間に合った!。そんな思いで撮った1枚です。

下流では紅葉はまだ早い時期ですが、上流の標高が高い沢入や足尾には期待しながら渡良瀬川に沿って上ります。水沼の棚田を見下ろす場所から。到着するとすぐにやってきたのは赤銅くん(旧型車両)。鈍く輝くボディ、健在です。

いつも立ち寄る黒保根の道の駅(やまびこ館)で味噌とお米を買って、次の場所へ。まだ紅葉シーズンには早いのに車が混んでいます。世間は月曜休みで四連休派がけっこう多かったみたいです。次は、水沼の旧道です。去年の秋よりも紅葉が進んでおり、半逆光でいい感じ。リズム良しです。

渓谷号は小中の先の有名撮影ポイントで。大間々駅で茶色のカマが待機しているのを見てがっかりでしたが、今シーズンもDE10が牽引する渓谷号が無事に運行されるのは嬉しいことです。河原の薄を大きく取り込んで、晩秋らしく撮りました。

お昼は神戸(ごうど)駅近くの玉木屋というお蕎麦屋さんで。初めて入りましたが、マイタケの天ぷら&蕎麦を選択。蕎麦が美味しく、大きなマイタケの天ぷらが新鮮で美味でした。

神戸駅は、桜と桃が共演する春とは違ったシックな装い。華やかな印象が強いですが、静かな佇まいがこの駅の本来の姿なのでしょうね。そんなイメージで普通を一本撮りました。

草木湖に沿って走ると、次は沢入。駅間の絶景より、駅を訪ねる旅になります。ここでは毎回そうなります。上神梅と同じくらい好きな駅、沢入。3年前、朝ドラ(半分青い)のロケ地にもなりましたが、深い森の中、対面式のホームが別世界のようです。ここまで来ると色づきが進んでいます。

ここでは、足尾からの上り列車を撮ります。ホームのサルビアが今年もきれいに植わっています。赤銅くんがやってきました。

私の定位置「上りホームの待合室の窓」から。予想以上の煙を上げてくれました。逆光ではとても絵になります。この駅に来られた幸福感を感じながら、連射しました。

そして、ほぼ終点の足尾駅に到着。途中、川向辺りや、立ち寄った二橋は、まさに紅葉ピークでした。

「お変わりないですね!」と心の中でご挨拶しました。

ここでも普通を一本撮りました。ローカル線としてはそこそこ本数もあって、いいリズムが刻めるのもわ鐵の良いところ。絶好の秋晴れなのに、これが初めての空入り写真です。青空好きの私には珍しいこと。

撮影しながら、川を下ります。沢入の第一橋梁で。草木湖の水量は豊富です。バックの山は紅葉には少し早かったですが、かすかに水鏡。秋の低い日差しが、渓谷を照らすのは限られた時間だけ。この時間帯(3時頃)からは太陽との競走になります。

秋の日が落ちる前にもう1本撮りたいな。ありました、良い場所が。線路の日が陰る前に、わっしーが通過してくれました。楽しい時間は刻一刻と過ぎていきます。そろそろ締めの時間。

当然、締めは上神梅駅。薄暮も似合う駅です。駅舎の中から撮りました。蛍光灯の灯りが木造駅舎を優しく照らします。

空には一番星。駅舎の灯り。公衆電話ボックス。駅前の電灯。遠い昔に見たような光景が目の前にあります。初日終了です。

今回、わ鐵訪問を決めた大きな理由は「宿」がとれたこと。足尾の山奥にある「かめむら別館」。暗い山道を約5キロ。昭和の旅館の佇まい。かじか荘と同じ温泉が引かれています。足尾駅まで車で約15分。翌日は、始発から撮影する腹積もりです。

翌朝、5時起床。真っ暗な山道を運転し、始発回送前に足尾駅に到着しました。気温は5度。着込んできましたが、冷えます。寒さへの覚悟が足りませんでした。空が少し明るくなった5時30分過ぎ、始発回送が間藤に出発しました。

沢入駅で、高崎の鉄友Tさんと合流し、川向近くのポイントに案内していただきました。勾配標で分かるとおりで、沢入から足尾までだらだらと上りが続きます。多様な広葉樹のトンネルになった見事な場所です。新緑も良いでしょうね。

続いて、第二橋梁。前日は完全な逆光だったので再チャレンジ。美しく紅葉した山々をバックに撮りたいと思ったのですが、日陰で寒いこと、山肌になかなか日が回らないこと。3度の撮影機会がありましたが、結局日は回らず。しかし、橋にスポットライトが当たって、立体感が出せました。空を少なく山肌多めにしたかったので、立ち位置は鉄橋が半分しか見えないイレギュラーなポジション。王道ではありませんが非凡な1枚となったと思います。

二台体制で撮りました。こちらは手持ち300mm単。腕がブルブル。身体の芯まで冷えました。

車に戻りました。しばらくは車中に留まりたい気分。Tさんが新たに開拓した場所に行くまでに、身体が温まりました。線路の脇を滝が落ちるという珍しい場所です。紅葉はピーク前でしたが、派手な色合いのわっしーだったので、構図の均衡が保てました。今回の訪問は、わっしーがMVPでした。

足尾に戻り、通洞駅。ロッジ風のこの駅も木造で、文化財級です。先ほど滝のところで撮ったわっしーが到着したところでした。大勢の乗客、鉄道が選ばれたこと、喜ばしいことです。

お昼は、旧道沿いのお店で、山椒たっぷりのから揚げ定食。お腹いっぱい。

渓谷号は、川向の直線で撮りました。時間の経過で、紅葉の色づきがずいぶん変わります。二日とも茶色いカマだったのは残念でしたが、勾配を力強く登ってくる機関車の迫力、久しぶりに味わいました。

二台体制なので、サブ機は、やや広めの構図。バックの山も近くの広葉樹も見事に紅葉しています。

沢入で締めの一本

そして、川を下って、上神梅で。ちょうど赤銅が来てくれました。これまでにこの駅で、何度も見送った構図で。今回のラストシーンです。

高速の混雑が予想されるため、後ろ髪引かれる気分でしたが、お昼過ぎには帰路に就きました。上信越道からの上州の山並みが半逆光で重って、山の端が近くに見えました。Fin.
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