2022年は、北海道民として通年北海道で過ごした初めての年でした。振り返ると今年の1月が遥か遠い昔と感じるほど。未知の経験の連続が時間の経過をスローにさせたのかもしれません。そんな2022年を、1か月1枚、合計12枚の鉄道風景で振り返ります。この表紙(タイトル:虎杖浜にタラコがやってきた)を含めると13枚です。(2022/12/26)
マイナス17度の黄昏空(1月)
雪の少ない白老でも、けっこう降りました。今年の冬で思い出すのは、除雪が大変だったこと。初冬の頃は「雪だ~!」が、1月になると、朝積もった雪にうんざり気分に。撮影は穏やかな日に近場でちょこっとした程度。下旬に富良野を訪ねました。日が落ちると急に冷えてきて、撮影を終えて車の温度計を見るとマイナス17度。寒空とは対照的な駅の灯り、列車の灯りにホッとする、いい写真が撮れました。(根室本線布部駅)
吹雪の金山峠を越えて(2月)
2月は撮影そっちのけで北京オリンピック観戦に熱が入りました。それでも極寒の日に2度ほど日高本線で樹氷をゲットしました。下旬には、吹雪の金山峠に往生しながら富良野にたどり着きました。雪が降り続く沿線、駅撮り中心になりました。午後3時の下金山駅。一人でも乗客がいるだけで鉄道写真らしくなります。しかし、空もホームもメリハリのない白。いいシーンなんですが、他に撮り様があったのではないか、中井先生に正解を聞いてみたい1枚。(根室本線 下金山)
別れの3月。ダイヤ改正前日の帯広駅で、奇跡の1枚(3月)
インスタの「いいね!」の数は自分の評価とは逆の場合が多いと常々思っていますが、この写真は4,500を超える「いいね!」を頂き、珍しく世間と自分の評価が一致した1枚です。ダイヤ改正前日の帯広駅のホーム。この日で運用離脱するキハ40と283を1枚に収めようと構えていたところ、まさかの「手を振る駅員さん」。ホームは最後を見送る人がかなり居たにも拘らず、余計なものは一切入らずで、まぁよく撮れました。奇跡の1枚です。(根室本線 帯広)
桜降る春の宵(4月)
桜が満開の時期に、半年ぶりの東京。久しぶりに同好の皆さんとも再会でき、箱根、江ノ電、世田谷線、そして荒川線と、里帰り気分。すっかり北海道のシンプルなリズムに慣れた私は、首都圏の撮影選択肢の多さは驚きでした。日暮れの飛鳥山、街灯が点ると桜が雪のように輝きました。「そうだ流そう!」。写真はアイデア勝負とも言えますが、これは旨くいきました。(都電荒川線 飛鳥山)
最後に桜(5月)
ゴールデンウィークには、北海道に桜前線が到達します。今年の桜を撮ったのは、5月末の金山湖畔。季節は新緑から夏の緑へ移る頃です。もう桜の季節はとうに終わっているはずなのに、大きな一本の桜木が純白の花を咲かせていました。きっと、心優しいかった彼が誘ってくれたに違いないと思いました。(根室本線 東鹿越)
この花があれば、6月は楽しい(6月)
鉄道写真の季語として花はいちばん手っ取り早く、車両と等しく重要な被写体です。長年6月の季語は紫陽花でしたが、北海道の6月はルピナス。この花を撮るのが今年の目標でしたが、山線や根室本線でしっかり撮れました。花は大ぶり、涼し気な色彩は初夏の北海道の象徴です。下金山駅は5月に咲き始めを確認していたので、6月に期待して訪問しました。生活者(道民)になり、道内で撮りたいものは何度もトライできる環境になりました。情報に頼らず、自分の目で確かめ結果が伴うと、写真への愛着も倍増します。(根室本線 下金山)
夏の朝の香り(7月)
月初は猛暑の東京。中旬は札幌、函館。下旬は根室本線と、北海道が一番輝く夏、精力的に撮りました。東京から同好の皆さんが渡道してくれました。
夏は朝が良いですね。さわやかです。私の散歩コースは、黄金、北舟岡、長和あたりの伊達市が中心。天然の花畑(ノラダイコン)で2~3本撮って、撮影の帰りには道の駅で新鮮野菜を買いました。とくに朝採りのアスパラとトウモロコシに、北海道に転居した幸せ感じます。(室蘭本線 黄金)
それでも待ってる夏休み(8月)
1枚だけ選ぶのは中々難しいです。月初の函館みなと祭りは、コロナ禍の出口がようやく見えてきた感じで、花電車にパレード。まだマスク姿ですが、久しぶりにお祭りを堪能しました。パレードのトリは「きつねダンス」、2022年の北海道を象徴するものでした。下旬には夏休み。年金生活者は毎日休みですけど、やはり遠出の旅行は夏休み感覚です。移住後はじめて、道東・道北方面に行きました。(函館市電 市役所前)
さよなら青い北斗&ノースレインボー(9月)
7月に引退が発表されたキハ281系北斗。「ついに」と言うより「もう?」と言う感じでしたが、以来、日に3往復ある青い北斗の通過時刻表を作って、意識して撮ってきました。同じく9月にはノースレインボーが特急ニセコとして最後の山線登板。羊蹄山を絡めて撮りました。見えなさそうなときは見えない、見せそうな時も見えないのが羊蹄山。この日も雲一つない秋晴れでしたが、羊蹄山周辺は雲が流れて山頂は見え隠れする展開で、ハラハラする待ち時間でした。(函館本線 昆布)
ご褒美の絶景(10月)
大沼が俯瞰できる日暮山。以前は車で登れましたが、数年前の大雨で路面の一部が崩れ、通行止めになっています。長年の友人Aさんの提案は、歩いて登ろう。徒歩30分の登山で拝めた錦秋の大沼です。独りだったら登れませんでした。Aさん、ありがとう。行政当局は、車で登れるよう山道の補修を早急に行い、観光資源の価値を高めるべきです。
好きな季節に、いちばん好きな北海道(11月)
落葉松が色づく季節に、今年も山部の落葉松林を訪ねることができました。来年は線路が存続するのだろうか、キハ40は引き続き走ってくれるのだろうかとの懸念があるため、今年が最後のシーンになるかもしれません。(根室本線 山部)
夜明けの街は、天然のイルミネーション(12月)
今年は、全国旅行割の恩恵を存分に受けることができました。12月初旬には芦別のホテルに2泊して、根室本線の素晴らしい雪景色が撮れました。初雪は遅かったものの札幌でもまとまった積雪があり冬の装いとなりました。この1年、北の路面電車も意識して撮ってきましたので、12月は、札幌市電より1枚。始発電車です。夜明けの街の灯りは、ホワイトイルミより美しい。(札幌市電 西八丁目)
以上のとおり、自由気ままな写真生活を送ってきた私ですが、悲しく辛い別れがあった2022年でした。原由子さんの優しいメロディと透明感のある歌声には癒されました。精神安定剤のようでした。
♪空の彼方にいる君へ もう一度逢えたなら あの曲で踊りませんか?(「婦人の肖像」に収録の「初恋のメロディ」より)
喪中につき、年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます。四季旅Galleryをご覧の皆さまに良い年が訪れますよう、お祈りいたします。
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